アンジュルム『乙女の逆襲』:遅れてきたハロウィン(2/4発売)

クラシカルな要素を併せ持ったダンスミュージック


アンジュルム『乙女の逆襲』

つんく♂以外による作詞作曲

暗い広間に純白衣装のメンバー、荘厳なストリングスから始まり加工された音声に載せてハロウィンよろしく右へ左へとワシワシ蠢く。そこに切り込むあやちょさんの真っ直ぐで幼い歌声。その後に中西さんの低音と室田さんの新人らしからぬ堂々とした声色が妖艶な表情と共に続く。


歌詞はコピンク*関連の作詞を手がけてきた児玉雨子(@pinkiss_staff)、作曲は川辺ヒロシ@Firoshi1)・上田禎、編曲はCMJK@principalcmjk)。


これまでも派生ユニットやSATOYAMA / SATOUMI movementなどでつんく♂以外が作詞作曲する機会があったが、今回はつんく♂療養中ということで今までとは少し異なる意味合いの新たな作詞作曲体制といえる。


児玉雨子は現Juice=Juice宮本佳林のコピンク*時代の作詞を手がけていたが、後述の「MUSIC+39」のインタビューの通り川辺ヒロシCMJKは初めての「女性アイドル曲」ということでお作法的なものが分からず戸惑いがあった模様。




事務所サイドからの無茶振りというのは舞台演出家のつぶやきからも伺えるが、今回も「バレーをやってる子がいるのでワルツを挟み込みたい」という、CMJK曰く「初対面にしてはいじめきついw」無理難題があったご様子。その上で「ワルツが長すぎる」「ワルツのキーが違う」というダメだしなども。


ただ同時に本人は「品のいいアカデミックなこととエグいことと両方やっていい、やんなきゃいけない、というのは非常にやってて楽しかった」とも語っており、楽しんで作ってもらえたのならよかったなと(小並感)。


これまでのつんく♂曲でもジャンルが多岐にわたっていたが、この「何でもやれ」的なスタンスが新体制でも継続されていることは嬉しい。


作詞の児玉雨子は武道館(どのグループかは不明)を観た次の日ぐらいにこの楽曲をもらい、モーニング娘。小田さくらのシャボン玉の「かわいい×強い」というハロプロに何人かいる特性(ほかに℃-ute岡井千聖、アンジュルム和田彩花)を想起して書いた模様。


歌の発注自体はたいせいよりメールで「テーマもグループも決めません。好きなようにどうぞ」という方針で来たため「℃-ute用に」と提出したとのこと(実は制作側は元々アンジュルムを想定。相川さん用にワルツパートも入れてるしね)。そのため世代的にはアンジュルムとちょっとずれる(児玉雨子は対象の)「ゆとり世代」も歌詞に入るなど。

歌詞所感

つんく♂による作詞はおっさんが女の子の心情を描くというウルトラCの技術であったが、今回の児玉雨子は現役の女子大生ということで、頑張って心情を描くというよりサラッとした描き方をしているように感じる。
それでいて「ネイルの拳に」「ちょっとずつ脆く」という語彙が出てくるところはさすが現役であるなと。


また、全編にわたって得体の知れない「焦り」が盛り込まれており、これがヒステリックな音や歌唱と相俟って一曲聴き終わった後の妙な消化不良感を残して「いやいや、もう一回聴いてみようか」という不思議な中毒性をもたらしている気がする。


初めて聴いたときには「ズルいほど魅力」かと思っていたところが実際は「ズルいほどに良く」であった。このあたり前後の文との繋がりが少しわかりにくい気もするが、結果的にずっと引っかかって印象に残っている部分なのでそれはそれで良いのかもしれない。


「そうゆうあいつは未来を読んでる」のくだりはちょっとつんく♂っぽくってハロヲタ的ノスタルジーを感じるなど。

楽曲所感

随分とオーケストラチックなイントロから始まるなと思っていたら左右交互に「ギャン」「ギャギャン」と異音が聞こえてきて「ギュイィーーーーン」で期待が高まり「ドン」でハロウィン的百鬼夜行の幕開け。


ちなみにこの「ギュイィーーーン、ドン」は冒頭のものが印象的だが、その後もサビ前で結構使われている。このくだりの前では素直に表で刻んでる音が「ドン」を契機に裏が強めの「ズンチャン」に切り替わる。


ワルツへの切り替わりは結構あっさりとホロホロと処理されているのに対し、ワルツからの切り戻しは間奏を利用してちょっとずつ頑張ってテンションを上げてく風情なのが面白い。ここでも「ドン」が活躍。「ドン」万能説。


歌唱については「加工音」と「各メンバーの声質」と「コーラス」がうまく使い分けられてる気がする。特にコーラスは終盤のフェイク直後のものなど部分的にコーラスがやけに目立つようになっていて、不安定さというか不安感を掻き立てるような構成になっている。

個別歌唱所感

あやちょさん:幼さを残しながら凜とした声質で、冒頭加工音直後などのパートでアクセントになっている。

にょんさん:ソロパートでも活躍しているが、ユニゾンでアンジュルムらしさを演出しているのがにょんさんの声のような気がしている。

中西さん:冒頭あやちょさんの引き継ぎパートやめいめいさん/竹内さんとの2人パートの際に低音で存分に活躍。

竹内さん:中西さんとは逆にかわいらしい高音の特徴的な声なのでポイントポイントでうまく使われている感じ。

勝田さん:2番加工音直後の若干ねっとりとした丸い歌唱で良い味出してる。

めいめいさん:全般にわたってユニゾン時の歌唱を支えてる。特に終盤の声を重ねるところやヒステリックな声色が強いところで目立っている気がする。

室田さん:冒頭のあやちょさん中西さんに続くパートでパワフルな歌声を披露。

相川さん:当楽曲だと歌唱的にそれほど目立っているところはない感じ。ワルツパートのダンスと独特の雰囲気がたまらん。あとクチが開いていますよ。

佐々木さん:当楽曲だと歌唱的にそれほど目立っているところはない感じ。ビジュアルとダンスで目立っている。

MVピックアップ

以下、思考を停止してだらだらとMVみて思った感想を書き綴るなど。


皆さん白い衣装で揃えてるのに各々のキャラクターが立っていて「何故この屋敷に集まっているのか」「各人どんな背景があるのか」とか気になる。末満さんが空いていたらなぁという妄想。特に東南アジア系貴婦人の佐々木さん(02:43)がどういう位置づけなのか興味ある。年少ながら飛び級で大学を首席で卒業した令嬢とかそういうのでもいいょ。


01:08:「焦ってるヒマも…」の、うねる海苔みたいな黒髪まきまきにょんさん、可愛らしいショートのタケちゃん、謎の東南アジア系貴婦人の佐々木さん、大人びたショートのめいめいさんがたまらん。


01:35:「あたしが特別」のときににょんさんがぽんぽんって胸叩くとこ好き。


01:38:「もがいてるこの手で明日を拓け!」のために少し巻き戻しながら観てたけど、その直前の「大人にもなれず」のタケちゃんの動きが予想以上にふんわりガーリーな風情で萌えるなど。かわいい。いつもの少年かわいいじゃなくて女の子かわいい。


01:41:「もがいてるこの手で明日を拓け!」の左中西右田村の低音高音フォーメーション大好物。奥さん!モーニング娘。「What's Up? 愛はどうなのよ~」で言うところの道重さん譜久村さんポジションですよ!(かなり違う)


02:03:勝田さんのノーブルかつ微妙にねっとりとした「ふと横ぉを見ぃたらぁ」から入って、竹内さんのどうやってもフェロモンが出てこないかわいらしい「周りは前を向いてて」を経由してからの、田村さんの「ダンスショット→紗のかかった昭和歌謡曲風ソロショット→ダンスショット→立ち姿→紗のかかった昭和歌謡曲風ソロショット」のコンビネーションがたまらない。


02:23:「あっちゅうまに過ぎる」で頭上にワシワシしたまま斜め下を向いて移動する室田さん。


02:33:手をガシャガシャガシャってする振り付け好き。そういえばこの手は「お化け」じゃなくて「木」らしいですよ。


02:40:「ギラつく瞳に」で室田さんにウィンクされた!と思ったら、目を細めていただけであった。


02:57:「散らしてる火花で時代を変えて!」のところは左中西中竹内。低音中西さん据え置き。そしてタケちゃんは右じゃなくて中央なのもポイント(MVだと引き画がないけどDanceShotだと分かりやすい)。


03:02:噂のワルツ。これまで結構強めにズンチャン、ズンチャンいわせてたのが、ポンポンパン、ポンポンパンと謎の展開。そして相川さん、クチが開いてますよ、相川さん。


ちょいちょい同時や連番の形でメンバーがセットになるところがあるが、その組み合わせが最近のハロプロ曲よりも意図的に構成されてるように感じる。今回は結構期分けも意識してるような。冒頭の和田/中西/室田(00:47)とか中西/田村(01:41)-中西/竹内(02:57)とか勝田/竹内/田村(02:03)とか。


03:25:あやちょさんの千手観音先頭がモーニング娘。「リゾナントブルー」の高橋さんと田中さんのユラユラっぽい動きをしそうでしない。


03:57:裏返り気味の高音の「もがいてるこの手で明日を拓け」から、ヒステリックな「らららら、らららら、ららららららら、らららら、らららら、ららららららら」の狂騒。かごめかごめを影を活かしたいろいろなアングルで捉えるなど。ここが一番ハロウィンチック。児玉雨子インタビューによるとこのあたりは橋本氏が「イントロの音をらららで歌わせよう」と考えていたとのこと。児玉雨子曰く「後味が悪いw」。


04:02:「らららら、らららら、ららららららら、らららら、らららら、ららららららら」のところ、皆さん上腕下がり気味のところで勝田さんと室田さん比較的頑張ってる。そして相川さんはもはや腕の事など構っていられないぐらい別のところでいっぱいいっぱいな風情。


04:20:最後のポーズ、佐々木さんぴょんってするのかわいい。佐々木さんは隙あらば跳ねる人であるな。


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レコーディング風景



MUSIC+39 アンジュルム「乙女の逆襲」トラックダウン&インタビュー
川辺氏とCMJKを交えたトラックダウンとインタビュー風景は04:09から。



MUSIC+40 アンジュルム「乙女の逆襲」作詞家:児玉雨子インタビュー
児玉雨子のインタビュー風景は10:11から。

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