以下なんとなく観劇してみての感想というかレビューというか思ったことを書き殴るなど。
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ここから先はTRUMPシリーズのミュージカル「マリーゴールド」についてネタバレを気にせず感想等書くのでご注意ください。TRUMPシリーズ全体についてもネタバレしています。
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※注：ネタバレを含むものの、紹介するための文章という訳ではなく思いついたことを順不同で書き殴っているだけのものであるため、これを読んでも劇のあらすじや概要などは分かりません。気ままに更新するので数日後には内容が変わってるかもしれません。
対象公演
2018/08/26夜公演（初日から数えて3回目の公演）を観劇。
めいめいさんこと田村芽実さんのFC先行でゲッツした前から3列目の下手側席。
演技の感想
めいめいさんのガーベラがかわいい。ひたすらかわいい。
背中を丸めてボサボサの髪で「だいきらい」って言うのかわいい。
幸運にも前方の席だったので表情がよく見えたのだけれど、場面場面での表情の作り方がとてもうまかった。
特に窓から外を眺めて街の少年少女に罵倒されてるシーン、もう罵倒され慣れて無表情なような、でも悲しげな、でも強がるような、なんともいえない表情でじっと外を見つめてるのがグッとくるなど。
めいめいさんはへの字口させたら日本一の女優だよね。
そりゃソフィさんもおうちに持って帰りたくなるわ。
アナベル壮一帆さんは終始毅然として凜々しかったのだけれど、終盤ヴァンプ化したときの冷たい表情が最高。「美」がそのまま具現化された感があった。
巧者揃いでどの役もとても良かったのだけれど、ベンジャミン宮川浩さんは若手とはまた違った円熟の演技で味わい深いなと。自分の見た回では少し台詞がおやってなったところはあったけど、緩急自在で経験の差を見せつけてきていた。
コリウス東ちゃんの歪んだ笑みも大好きだよ！
構成の感想
TRUMP文法全部乗せ。倒れ込んで登場するのは黒幕で、我は守護者なりは守れない。ダリちゃん、星を掴めない手、「トゥルー・オブ・バンプ……」、ダラーンとしたまま斬られまくる不死者などなど、そんなに盛り込むのかというぐらい盛り込んできた。
新しいネタを投入しつつも本編の中で過去の伏線もそこそこ回収していき、パンフレットも「そこ、ぼかさずに明言するのか」ってぐらいじゃんじゃん設定を明らかにしていっているので、末満さん的には溢れ出るネタをこぼさないように風呂敷を畳んでTRUMPシリーズの枠を早い段階である程度完成まで持って行こうとしているようにも見受けられる。
これまでのTRUMPシリーズではあまり出てこない「人間種の街」が舞台だったので若干「我らジャンヌ」的な雰囲気も感じられた。レクター博士バージョンのガーベラが処刑の危機に瀕するところなども火刑台のシーンの趣があったし、その周辺の街全体のシーン転換やテンポもジャンヌを彷彿とさせるものがあった。他方、短編小説も含めて囚われの繭期のシーンには「ステーシーズ」みもある。
あと、星の轍でアンジェリコ様たち出てきたの良かった。モローとかも眼鏡で判るけど、アンジェリコ様って小物使わずに髪型で判別つくからいいよね。
楽曲もなかなかエモいものが多かったし、新たなTRUE OF VAMPも良かったのだけれど、やはり最後の共同幻想ユートピアのアレンジが好き。
展開について
偽ウルがキャメリアなのは、なんだか最初の方からそんな気がしてた。TRUMP文法に慣れてきたというのもあるかもしれないけど、演者土屋神葉さんに大いなるキャメリア感を覚える。
一応「怪しげな雰囲気を醸し出しつつ実は作家ダリ・デリコの著作からソフィ/ウルという人名をとっただけの普通の少年たち」というのもあり得るかなと思ったけれど、今回は直球でソフィはソフィであった。
LILIUMでも出てくるアナベルの一言の裏事情も早い段階でなんとなく予想はついた。こちらはTRUMP文法への慣れかもしれない。
竜胆と紫蘭については想定外。紫蘭が鞭持って「のだ！」って言うのは前日にハロコンで3年ぶりの福田花音さんのステージを見た後だったこともあって台詞の度にジワジワきた。「のだ！」って言う役、結構難しそうだなと。短編小説で最後に紫蘭が鞭を持ってく描写があるかなって思ったけどなかった。個人的にはない形でよいと思う。
気になったこと
前半でヘンルーダが花の名前と花言葉をガーベラに歌って聞かせてるけど、ヘンルーダが疑似クランにいたときのお友達の名前が多数含まれてることを自覚しているのかいないのか。リリー/スノウは最古参だからヘンルーダがいたときには当然いただろうしシルベチカとか思い入れのある人の名前だから意識してるはずだよね。
ヘンルーダの本名「ヤン・フラ」って家名がすごく気になるんですが。ヴァンプ社会の家名のルールはよく知らないけど、脚本書いてる末満さんは少なからず「フラ」は意識して使ってるよなと。アンジェリコ様亡きあと、フラさんちってどういう系統になってるんだろう。っていうかキキたむは人間種ではないのでガーベラのご先祖様ならヘンルーダ側すなわちヤン・フラ側ということになるけど、キキたむかその子孫がフラ家に拾われた？子孫と言ってもゲルハルト卿の次がいないので結構早期に拾われないといけない。
「TRUE OF VAMP」の脇に「ヴラド」家と「ダミアン・ストーン」という名前が脈々と受け継がれていたのと同じように「FALSE OF VAMP」の脇に「フラ」家と「ダリ・デリコ」という名前が脈々と受け継がれていくのだろうか。
ところでヘンルーダがLILIUM勢を総殴りにくる歌、昼顔（Bindweed/Calystegia japonica：絆/優しい愛情/情事/友達のよしみ/和やかさ/はかない恋/だんだんに入り込む）ってなんで挟まってきたの。同じように花が列挙されるSPECTERとかには昼顔出てきたっけ。よく覚えてない。戯曲集買えなかったし。
追記：「昼顔はFalse Bindweedとも呼ばれるようです」というコメントを頂くなど。そういえばリリウムかSPECTERのあたりでそんなやりとりを見たような気がしなくもない。ありがとうございます。
パンフレットでマーガレットさんの共同幻想のイレギュラーを見て「まさかジャスミン、クレマチス、ミモザの存在自体が幻想では！？」と思って「秘密の花が綻ぶ」の歌詞を確認したら一応三名とも名簿には居るご様子。マーガレット親衛隊万歳。でもそういう設定が作られたからにはリリウムや二輪咲きの誰かが実は幻想でしたという展開がなくもなさそう。いやないか。ないな。
マーガレットさんのイレギュラー、ひょっとしてファルスやリリーの日常にも影響してたのかしら。マーガレットの喪失でファルスやリリーの共同幻想も弱まって一層箱庭の綻びが強くなったのかも。と、思ったけどそもそもマーガレット喪失するのは箱庭が壊れた後か。
落ち穂拾い
【ふと思い出したLILIUM小ネタ】本編未視聴者注意。そういえば、竜胆と紫蘭は初期プロットでは実在せず、とある人物がイニシアチブで少女たちに見せている共同幻想の一部という設定だった。プロットを練り直した結果、非実在から実在の人物に変更になった。
— 末満健一 (@suemitsu) 2014年10月8日
初期プロットで竜胆と紫蘭を共同幻想で見せたのは誰か。
まあこれだとやっぱりファルスなのかな。この着想からマーガレットのイレギュラーが出てきたような気がする。
この段階ではイレギュラーはなくてイニシアチブ呼称。イレギュラーってSPECTERあたりからだっけ。
色々考えているうちに、シルベチカとキャメリアとチェリー、リリーとファルスとスノウ、竜胆と紫蘭たちの、『LILIUM』以前の物語の組み立てができた。あの時、シルベチカになにがあったのか。ラストシーンは『LILIUM』の冒頭と繋がる。これを『Forgotten』と仮題付けておく。
— 末満健一 (@suemitsu) 2014年10月11日
4年ほど前にForgottenと仮題されていた「シルベチカとキャメリアとチェリー」「リリーとファルスとスノウ」「竜胆と紫蘭」の一部がようやくちょいちょい顕在化してきたのかな。
適当なこと
ソフィが不死であることが判明するシーンでソフィが倒れた時に「すんませんほんとすんません」って囁き声がマイクにのってた気がするなど。
舞台袖の音声がONになっちゃったのかなって思ったけど、当該シーンはほとんどの役者さんが舞台上にいたし、スタッフさんの感じでもなかったので気のせいか何かの霊障かなって思ったけど、他にもその声を聞いた人がいるようだったので霊障ではなさそう。
アナベルが「こんな気持ち」的なこと言い出したので「はじめて」って言うのかなって思ったら言わなかった（重度のつばきファクトリー「初恋サンライズ」脳：参考映像）。
パンフレットでのマーガレットさんの笑い声、マーガレットさんというよりまーちゃんの「ゲハハハハハ！」を想起する。
TRUMPシリーズ、モジャモジャ頭多いよね。あと基本的に親御さんたちみんないい人。ダミアン以外。
めいめいさんのガーベラ、形的に月光条例のかぐや姫っぽさある。不完全に一致。かぐや姫の言ってること自体はTRUMPみが強いけど。
田村芽実演じるガーベラ。 [画像ギャラリー 9/12] - ステージナタリー
ベンジャミンが編集長たちを脅すところの楽曲、導入で両脇に控える部下たちが足でリズムとり始めるんだけど、DA PUMPのU.S.A.が始まるかと思ったよね。っていうか部下のうちの一人（ベンジャミンに異を唱えた方の人）が少しISSAみあった。
2018/12/10追記：
マリーゴールドDVD発売記念イベントにて末満さんより、ヴァンプ化したアナベルが「私を殺させないで」とソフィのイニシアチブに抗う素振りを見せたのは実際に抵抗している訳ではなくソフィが言わせてるとのお話があったご様子。
脚本ソフィ、演出ソフィ、演者アナベル/ガーベラの、ソフィのソフィによるソフィのための幕引きなのね。
当件以外にこれまでイニシアチブに抗った風のものは「リリーとスノウ（ファルスとの同化（および純血の優位性？）によるもの）」「シルベチカ（リコリスの関係によるもの）」「ニコ・ヨハネス・ヴラド（昔の関係によるもの）」かな。
まとめ
はやく「従僕従順歌劇～執事ハンスの奇妙な日々～」（注：勝手に自分で考えた企画）を作品化してください。
